中学校一年生当時
9食給食の日々


 この話の主役は、
 前回の「昆虫採取」で、
 光一と行動を共にした勇者Nです。






 さて、日本は義務教育制度がありますね。
 みなさんも、
 小学校6年間
 中学校3年間
 この9年間を経験してきたことと思います。






 そして、学校といえば、
 購買では


 「焼きそばパン」

 という、
 伝説の高倍率パンの確保に全力を挙げたことでしょう。






 光一も高校時代は、
 殺気に溢れる旧友や先輩方を蹴散らし、


 光一「おばちゃん!! このパン!!

 そう言って、戦利品を確保していたものです。





 教育実習中も
 焼きそばパンを


 学生たちよりも早く確保していたのは言うまでもありません!!





 食事は戦い
 日々是戦也(ひびこれたたかいなり)






 さて、それは義務教育中の給食でも同じことでした。
 特に、
 
うどん
 
デザート
 
カレーといった、
 普段とは異なる給食では、
 つまり、
給食の三種の神器では

 戦死者が出てもおかしくないような、

 そういった生存競争が行われていました。





 きっと、学校側としては、
 「世の中の厳しさ」
 「選ばれし者へと辿り着く道程」
 「競争社会の縮図」
 を生徒たちに無意識のうちに植え付けていたのでしょう。






 そんな私もご多分に漏れず、
 うどんなどの獲得に奔走していた一人でありました。






 さて、友人Nは特に強力なライバルでした。
 勝ったためしはほとんどありません。






 そして、Nは漢でした。





 親友N「もっとうどんが食べたい!!

 それが、Nの学校生活への不満でした。
 それは、その他大勢の生徒たちの共有する感情でもありました。






 ところで、学校には

 「学級の時間」

 もしくは、

 「LHR(ロング・ホーム・ルーム)」

 などといった、
 一時間の授業を丸々使った、


 「学級会」

 という生徒たちの話し合いがありませんでした?





 その話し合いでは、
 「クラス委員の選出」
 「各係りの選出」
 などといったことや、
 「文化祭」などの話し合いがされませんでした?






 中学校のときは、

 クラスの中の「改善事項」の提案

 なんてのがありました。










 Nは勇者でした。










 また話は変わりますが、
 Nの机には、
 学校で配られた今月の給食献立表が、


 きっちり一日ごとに切り取られ、

 「献立日めくりカレンダー」

 として貼ってありました。
 もちろん、毎日めくってましたよ。
 嬉々として……






 そんなNは、
 学級会でこんな提案をしました。











 全員が静まり返りました。

 先生さえも、一瞬固まりました。

 光一も、勇者Nの発言を、疑ってしまいました。















 議長「それでは、誰か提案はありますか?」


 親友N「はい!!





 N……めちゃくちゃ張り切っております。
 息も荒いです。






 議長「え、と。はい、N君」





 議長、ちょっと押されていました。




















 N「学校給食で、


 毎日うどんを出すべきだと思います!!





 …………………………





 しばしの沈黙の後、





 教師「それは、ちょっと無理だな」





 あれから10年…………
 うどんを食べに行くたびに、
 うどんを見るたびに


 

 私は一人の勇者を思い出さずにはいられないのです。


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