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授業外活動

 さて、では「授業」に対する心構えができたということで、次は「授業外」の行動に焦点を移しましょう。
 ここで取り上げる「授業外活動」は放課後の活動などではなく、「授業時間の枠内」などに限定した「授業外活動」です。つまり、「授業」をしていないときに何をしているか、ということですね。放課後に何をするかなどは、また次回以降に取り上げます
 学校教員が「授業」だけをしているわけでないことは周知のことかと思います。「授業」だけしていればいいのは、塾の先生でしょうか。少なくとも、学校で「教育」に携わる以上は、「授業」以外の活動領域が主要な舞台になると言っても過言ではないわけです。
 それでも、「教育実習生」が学校の書類を決裁することなどはないですし、保護者やOB会など外部との連絡を任されることもないので、「授業」が完全にメインとはなるわけですが。
 しかし、「教育実習生」には必ず行わなくてはならない「授業外活動」と、任意で行うことになる「授業活動」が存在します。
 まずは、その二つを大きな枠組みとして、中身を考えて行きましょう。
1、必ず行うべき「授業外活動」
 さて、実習生が必ず行うべき「授業外活動」とは何が挙げられるでしょうか?
 私が実習を行ったのは2003年のことですが、自分の実習を振り返って思い出すと、少なくとも以下のものが挙げられるかと思います、
 ●指導要領作成
 ●HR(ホームルーム)活動の監督
 ●自習時間の監督
 この三つは最低限行う義務が生じてくる「授業外活動」と言えるでしょう。では、まずはこの三つから考えて見ましょう。
 ○指導要領作成
 これは「授業」でも一部触れました。
 学校によっては指示される内容が異なるので、確認の必要があります。
 私は授業の前に「指導要領」の提出をする必要はないと言われました。「指導要領」は簡単に言えば「授業の計画書」です。その内容に沿って授業を行うという……会社で言うところの「企画書」と考えていただいてもいいかもしれませんね。
 ただ、私の場合は、「授業ノート」を作成していたので、それを見てもらい、実際にデモンストレーションをして指導教員と打ち合わせをさせていただきました。
 「指導要領」にしても「学習ノート」にしても、「授業の計画案」を提出し、教科の指導教官に説明し「GOサイン」をもらう必要はあります。
 それゆえに授業外の時間、「指導要領」を作成するための「予習」および「計画書作成」が大きなウェイトを占めてきます。これが完成しないと、授業を行うことができません
○HR(ホームルーム)活動の監督
 これも学校ごとに名称や時間、形態は違うので一概には言えません。
 HR活動というのは、「学級会」「クラス会」「ミーティング」「朝の会」「帰りの会」などと表現されることもあります。
 私の学校ではこれは二種類ありました。
 一つは「SHR(ショート・ホームルーム)」と呼ばれるもので、毎日放課後に10分間行われるものでした。内容としては「生徒がいるかの確認(出欠簿)」「学校行事の連絡」「必要書類の配布」など、基本的な連絡事項を伝えるための短い集まりでした。
 もう一つは「LHR(ロング・ホームルーム)」と呼ばれるもので、毎週1回授業時間を一つ丸々話し合いに使うというものでした。内容としては、私の場合は高校の文化祭が目前に迫っていたので、「学園祭の出し物に関する話し合い」を行っていました。学校行事が目前に迫っている場合、その内容決定などのために使われる時間です。
 これらは、自分の「担当クラス」において行うこととなります。
 実習生は「SHR」では、クラス委員や日直に「連絡事項」を伝えさせて、かつ配布物がある場合はそれを配ることになります。
 問題は「LHR」で、私はこれにかなりの苦戦をすることとなりました。
 というのも、私は高校で3週間の実習をしてきましたが、その実習最終日が「学園祭」であったため3回の「LHR」全てが「学園祭」に関する議題であったからです。
 つまり、生徒たちが「あれがやりたい」「これがやりたい」。「お前はこの役をやれ」とか、「予算は?」「準備は?」などと、生徒たちの意見はとにかくまとまらずにバラバラ。泣き出す女の子もいる始末でして……このときほど、生徒の意見を集約させて、一つのことに動くように向けていくのが難しいと感じたことはありません
 なんせ、学園祭の直前まで意見はまとまらないし、準備は思うように進まない。誰それがあんまり働かないとか、誰々が仕切っていてムカつくとか……私の方でも色々アドバイスはするけれども、アドバイス以上のことはできません私が仕切っては何の意味もないからです。生徒のための学園祭ですからね。
 人と人との関係であって、「LHR」の議題が思うにまかせないことは多々あります。それがビッグイベントに関することだと特にそうです。
 しかし、話がまとまらないと、生徒の中にはダラけて友達同士で雑談を始め、放っておくとクラス全体がバラバラに雑談を始めて議事が進まなくなります
 こうなる前に、実習生は「監督者」として提案をしたり、何か行動して話し合いの方向を元に戻す努力をする必要があります。
 これがかなり難しいのですが、こちらが真剣に考えて動けば、生徒たちも結構のってきてくれます。それと、クラス内には何かすることへの温度差がかならずあるので、行動的なグループがどこなのかをいち早く把握できると、話し合いを幾分進めるのが容易になります。
○自習時間の監督
 これは、私の場合は週2回の朝の小テスト監督が該当しました。生徒がきっちり問題を解いているか、もしくは勉強しているかを「机間巡視」して確認しましょう。
 基本的には自分のクラスを担当しますが、授業時間中でも、「誰先生が休んだから自習にするので、監督お願いするね」と自習監督を突然任されることもあります。
2、任意である「授業外活動」
 さて、実習をしている以上は「仕事=授業」であり、「クラス担当」であるわけです。それは必ず行うことになるのですが、実習生が必ずしも行わなくてもよい「授業外活動」があります。しかし、ほとんどの実習生が経験してきますし、もしくはやったほうがいいでしょう。
 例えば、以下のものが挙げられるでしょうか。
●授業見学
 「授業見学」は非常に重要です。ぜひ、行ってください
 私は「日本史」の授業を行わせてもらいましたが、「英語」「国語」「家庭科」「世界史」「日本史」「美術」の授業を見学させてもらっています。
 これは、教育実習仲間の授業を見学したこともあれば、現場の先生方の授業を見学させてもらったこともあります。
 自分と同じ教科の先生の授業を見ることで、「授業の時間配分」「授業内容の設定」などを見れますから、そこから自分との違いを測ることで、「自分の授業の何がよくないか」「こういう点での工夫が可能だ」など様々なことが見えます
 教育実習生の授業はプロの先生から見ると拙いものです。それは経験が違うということが第一に言えるでしょう。その先生たちの授業を見学することは自分の足りない点をはっきり見れるので有効です。
 実習生仲間の授業を見ることは、実は「Fその他」に書くつもりである「実習生同士の交流」とも深く絡んできます。
 実習生同士は、学校内での仲間です。互いに教育の現場に立つけれども、経験は圧倒的に不足している同士……。そんな実習生の授業を観察すると、「たくさんの欠点」が見えます。実は、その多くが自分への反面教師ともなる上に、自分の鏡写しでもあるのです。
 そこで、実習生同士で授業を見合って、「ここが悪かった」とか「私のここが悪くて、あなたのここが良かった」と意見を交換し合うことは、大きな刺激となります。また、そこから学べることはかなり多いです。
 そして、実習生同士の交流を進めると、学校内において精神的に安心できる空間を作る一助になります。
 実習生はとにかく浮いた存在ですからね。教員でもないし、生徒でもない。中途半端な集団。そんな中でかつてない経験をしていくわけで、不安はいっぱいでしょう。それを実習生同士で励ましあうことは、非常にプラスであります。実際、私たちも実習生同士での交流を深めることで、一緒に不満を打ち明けたり、授業の意見交換をしたり、有益なことが多かったですから。
 ああ、そうそう。私は実習生が行っている家庭科の「授業見学」中に、先生から声をかけられ、10分ほどでしたが、「即興の家庭科授業」を行ったりもしました。そういった突発的「イベント」もあるかもしれませんね(笑)
 なお、その私の家庭科の即興授業を行うことになった関連記事は、お笑いコンテンツとして記事にしています。「2003年6/11」。で。授業後のイベントは「6/12

 さて、次回は基本的な事項でもある「後片付け」に触れておきます。
 内容は非常にライトですので、5、の項目は小休止というような内容です(笑)

コンテンツ
教育実習に関して
1、実習時心得
2、前準備
3、授業
4、授業外活動
5、後片付け
6、放課後
7、その他

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