光一
「……………………」鳴島
「ふ〜ん♪ ふ〜ん♪」光一
「……………………
…………綾香君？」鳴島
「あ、マスター！！
おはようございますぅ♪」光一
「うむ。おはよう」鳴島
「ふんふんふ〜ん♪」光一
「……………………」鳴島
「ふっふんふ〜ん♪」光一
「綾香君…………
一つ聞いても良いかね？」鳴島
「なんですかぁ？」光一
「私はたった今目覚めたところだが……」鳴島
「あー、
よく眠っていらっしゃいましたねぇ」光一
「うむ。その件についても問いたいが、
まずは何故…………
椅子に後ろ手で縛りつけられているのか。
それをぜひ聞かせてもらいたいところだね」鳴島
「あー…………
念のためってやつですよぉ♪」光一
「何の念のためなのかね！？
朝起きたらいきなりこんなカッコ……
君は私を一体全体どうしたいんだ！？」鳴島
「まぁまぁ、落ち着いて。
後しばらくですよぉ」光一
「何が後しばらくで始まるのかね！？
というかそもそもだ…………」鳴島
「はい？」光一
「普通に考えて…………
椅子に後ろ手に縛られたというのに
それで起きないのはあまりにもおかしい……
君、昨夜私に何をしたのかね！？」鳴島
「……………………
……………………さぁ？
マスターが寝る前に飲んだお水に
まさか睡眠薬が溶け込んでいたなんて……
そんなわけがありませんよぉ！！」光一
「滅茶苦茶確信犯！！
君が犯人か！！！！」鳴島
「まあまあ。
そんなのどうでも良いじゃないですかぁ♪」光一
「どうでもよくないよ！！
というか私は何をされるんだね！！
さっきから聞こえるおぞましい音……
これは何かね！？」鳴島
「おぞましい音とは失礼な！！
私が料理をしているだけじゃないですかぁ」光一
「料理？ 料理？
何を料理しているんだね！？
まさか……人？ 人かね？
さっきから聞こえる地獄にも似たＢＧＭは……
何かそういった儀式の音かね！？」鳴島
「失礼ですねぇ…………
普通のお料理しているだけですよぉ」光一
「普通に料理していて…………」
にょっぺろん！！
ぐばぁぁぁぁ！！
エーストゥ！！
光一
「普通に料理していて、
こんなオバケ屋敷みたいな音なんて……
聞こえるわけないだろ！！」鳴島
「オバケ屋敷って…………」光一
「とにかくこの縄をほどきたまえ！！
また黄泉送りなんてされたらたまらん！」鳴島
「そんな私を人殺しみたいにぃ〜」光一
「いや、どう考えても
人に物を食べさせる状況じゃないだろ、コレ！
手は後ろ手で、無理やり食わされるって状況ですよ？
椅子に後ろ手に縛るって…………
明らかにこれからここが殺人現場ですよ！」鳴島
「いやー、美味しい料理を食べてもらいたいだけですよぉ♪
マスターが美味しい料理の話題を書いたので触発されましてぇ
ただ、私料理が少々不得手なのでぇ、
マスターが試食を嫌がるかと思いましてぇ♪」光一
「少々！？ 少々なのかね！？
先ほどのＢＧＭからして出てくる料理は…………」
ぎゃばぁぁぁぁぁ！！
鳴島
「あ、出来たみたいですねぇ♪
オーブンから出してきますぅ♪」光一
「ちょっと待てー！！！！
今の音は明らかに料理の完成音じゃない！
何かが誕生した音だ！！
絶対に出すな！！ 出してはいかん！」鳴島
「おー……アツアツぐつぐつだぁー」光一
「溶岩地獄でも出来ているのかね？
溶岩地獄で死ぬことも出来ずに苦しんでいる
魍魎たちの叫び声かね…………？」鳴島
「はい、マスター♪
さめないうちにどうぞー♪」光一
「そのさめないって…………
『覚めない』とか書くでしょ？
『冷めない』じゃ決してないね！！」鳴島
「ほらぁー♪
せっかく美味しい料理を作ってみたんですからぁ」光一
「だったらまず、人に食べさせる前に味見したまえ！
絶対それ食べたらあの世逝きだろ！！
なんか、変な物体がグネグネ動いている！！」鳴島
「ほらぁ、口を閉じない閉じない。
もう、口を閉じるなら…………」光一
「……………………！？
ぷはぁぁ！！」鳴島
「今だ〜！！
どうぞ、お食べくださいませ〜！！
ぬふふぅ。マスター♪
鼻をふさげば人間は自然と口を開けるんですよぉ」光一
「ぐぶぅぅっぁぁぁぁぁ！？」鳴島
「マスター。
お味はどうですかぁ？」光一
「グブ……………………」鳴島
「おおー、これはぁ…………」光一
「ぁぁ……………………」鳴島
「あまりの美味しさに声も出ないってやつですねぇ♪
よかったよかったですよぉ♪
次は何を作ろうかなー♪」光一
「……………………」
