10/31(水)
精神疾患その2……自立支援医療について

光一

……………………
鳴島

マスター、

32歳の、そう……32歳の誕生日、

おめでとうございますぅ!
清香

おめでとうございます
光一

32歳を強調する必要性はあったのかね?

私はなりたくて32歳になったわけではないよ?
鳴島

今年も悪あがきしていましたもんね?
光一

悪あがきではない。

10進数では32歳だが、

16進数では私は20歳になるんだ!
清香

そんな事、お役所で言ったり、

書類に記載しても通用しないかと
光一

だから『お役所仕事』というんだ
鳴島

そこはお役所悪くないですよぉ
清香

で、今日は何の話をされますか?
光一

お役所仕事……と絡むけれども、

『自立支援医療』について話したいね。

これ、知っていると知らないとでは、

精神疾患治療の際、負担が大きく変わるから。

絶対に知って、利用してほしい制度
鳴島

『自立支援医療』?
光一

日本ってさ……色々な権利があったり、

あるいは人を保護する法律・制度があるんだけど、

ほとんどは『申請主義』なんだよね
清香

と言いますと?
光一

例えば『生活保護』にしてもそうだけど……

役所に申請しないと保護が受けられない。

高齢者の様々なケアにしてもそう。

疾病や失業その他に際してもそう。

『申請しない人は、保護が必要ない』

として、切り捨てられる社会なんだね
鳴島

あー、そういう意味ですかぁ
清香

自分達を守ってくれる法律・制度があるのに、

それをほとんどの人は知らないですよね
光一

実際、積極的に知らせようともしないよ。

まあ、国や地方公共団体としては、

『税金とかで金は搾りとりたい』けど、

『税金で国民のケアは出来るだけしたくない』

って、社会保障費削減の意図が強いからじゃない
鳴島

あー、それはそうかもですねぇ。

『〜支援制度』とかそういうのって、

あんまり周知されないですよねぇ
光一

で、その意味においては、

『精神疾患』の患者は、まさに

『申請主義』で保護を受けられない、

そういうケースが多いので、この話をしておきたい
清香

で、今回の話はどういう話になりますか?
光一

まず、『精神疾患』の治療を受けている人って、

大体は以下の点に該当するんじゃないかな?
鳴島

該当する点?
光一

例えば…………精神疾患の人達は、

『1.収入が無い、または極端に少ない』
清香

あ、それはそうですよね
鳴島

マスターみたいに休職していたり、

他には失職したり…………

あるいは非正規労働でどうにか生きてるって人、

多いはずですよねぇ
光一

それは容易に想像がつくよね?

精神疾患のために働けない状態。

あるいは連続して勤務できない状態。

そういう人が多いから、

収入が少ない人が多いはずなんだ。

私だって貯金を取り崩して生活しているし
鳴島

ですよねぇ…………

で、【1】とした事は、他にも?
光一

『2.通院・治療費が膨大な額になる』
鳴島

あ……言われてみれば、

それも当てはまりますよね。

医者に行くのはタダじゃないですからねぇ
清香

薬を貰わなくてはいけない。

診察を受けなくてはいけない……

他にもグループ療法やリハビリなど、

色々治療を受けますもんね
光一

例えば私みたいに、週4回のグループ療法を受けると、

通常は1週間6000〜7000円程度。

隔週での診察・投薬で3000円程度。

1ヶ月当たり3〜4万円はかかるはずなんだ
鳴島

収入が減っているのに、

毎月3〜4万円も治療費がかかるなんて……
清香

それも大変ですよね。

負担しきれなくて、治療できないとか……

そういう事も起きそうですよね
光一

休職状態じゃなく、普通に働きながらだって、

週2回とか通っていれば、毎月1万円以上は、

精神疾患の治療のみで支出があるよね?

これ、かなり苦しいと思うんだ
鳴島

収入が減りがちなのに、

治療費が膨大になるって…………
光一

そんなわけで日本は『申請主義』と言うのさ。

つまり、こうして『精神疾患』に苦しんでいて、

『治療費』で二重に苦しんでいるのに、

基本的にはそのまま放置でしょ?
鳴島

あ……確かに
清香

言い方を変えれば、申請さえすれば、

医療費の補助を受けられるって事ですか?
光一

補助……というか減免措置が受けられる
鳴島

減免?
光一

例えば私はそうではないけど、

『生活保護費受給者』は基本的には

医療費は無償になる。

どうしてかは分かるよね?
鳴島

それは収入が著しく低いからですよね?
光一

そうだね。

憲法にはその点の根拠について記載がある。

【日本国憲法第25条】

『すべて国民は、健康で文化的な

最低限度の生活を営む権利を有する』

『2.国は、すべての生活部門について、

社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進

に努めなければならない』

だから、そうなっているんだね。

経済的な困窮で医療を受けられない。

それはあってはならないわけだね
清香

『健康で文化的な最低限度の生活』とあるので、

現在で言えば……誰でも普通はする生活環境、

携帯・パソコン・ネットが利用できる。テレビが見れる。

これは最低限のラインと考えられるので、

その辺りの生活までは保障されるわけですよね。

第一、そうでないと就職活動も、

あるいは職業訓練も出来ませんよね?
鳴島

『生活保護受給者』には食料・衣類だけ与えろーとか、

『支給費』をもっと減額しろーって言うのは、

そういう点からおかしいわけですよね
光一

その通り。そして、『生活保護費受給者』の生活は、

『健康で文化的な最低限度の生活』の基準なので、

それをもっと『低位にしろ』と言う事は、

跳ね返って…………

『最低賃金の抑制・切り下げ』議論に繋がる。

そうすると、どんどん生活水準を下げていくスパイラルになる。

そういう意味で弱者をいじめるような今の論調、

おかしいと思うのだよね
清香

不正受給なんて、全体の0.25パーセントとか

その程度の数ですもんね
光一

この世のあらゆる制度に、

完全無欠なものなんて無いからね。

全体として有意義な制度なのに、その極少部分を見て、

『制度全体を変えろ!』とか…………

『生活保護費受給者は悪い』って考える事は、

自分達の首を絞めかねないと…………

気づけない人も多いんだよね
鳴島

ですねぇ…………
光一

だからこそ、収入の低い人にとって、

まさにその事で『病院に行けない』のは、

あってはならないことなんだ。

だから、医療費に関しては様々な助成制度がある
鳴島

と、話が少し逸れ始めましたが、

精神疾患の治療に際して、

『自立支援医療』ってどういうものです?
光一

簡潔に言ってしまえば、

【A】一ヶ月あたりの治療費の上限設定

【B】治療費自体の減免(3割負担を1割負担に)

この2点になるね
清香

その2点と今までの話で、

観点として挙げるなら…………

【あ】精神疾患患者は低収入になりやすい

【い】通院・治療費が膨大になりやすい

【う】なので治療費の上限を設ける

…………って事ですね
光一

そう言う事
鳴島

具体的にはどのくらいになるんですかぁ?
光一

これはこの後、

『自立支援医療』の申請方法について話すけど、

収入(課税状況)によっても変わるんだ。

私の場合で具体例をあげようか
鳴島

はいー
光一

私の場合、

1回あたりの治療費・投薬費用は、

3割負担ではなく、1割負担。

1ヶ月当たりの自己負担上限額は1万円。

それを越えた場合は無償になる
清香

先ほどのマスターの話と合わせると、

かなりの事ですよね?
鳴島

マスターが普通に精神疾患の治療のため、

週4回のグループ療法と、

隔週のドクター診察・投薬で…………

通常なら3〜4万円って言ってましたっけ?
清香

それが1万円までで抑えられるなら、

2〜3万円は助かりますよね?
光一

まあ、そもそも1回あたりの費用が1割負担だ。

だから月当たりの自己負担は1万円行かなくて済むね
清香

だとすると、利用しない手はないですよね?
光一

そう。精神疾患の人を支援する制度がある。

利用しない方がもったいないよ。

制度は利用するためにあるんだから。

ちなみに私は最初知らなかったんだ…………
鳴島

えっ!?
光一

まだ休職する前、仕事していた時。週1回のグループ療法と、

月1回のドクター診察・投薬の頃だけどね?

その頃は月当たり……8000円位かかってたね
鳴島

大きい額ですよねぇ…………
光一

ネット仲間の月村さんが教えてくれたんだよ。

それまで、そんな制度の存在自体知らなかった
清香

あー、だからこそ『申請主義』。

知らない人は、放置される……ですね
光一

今でも3時間弱のグループ療法で

私は610円払っているんだけど…………

同じように来ている人が1830円払っていて、

この人は大変じゃないのかなあ……

と、そう思う事もよくあるよ
鳴島

うーん……確かにそうですねぇ
光一

ちなみに、厚生労働省のホームページで、

『自立支援医療』の手続き・内容は見る事が出来る。

参照してほしい。

厚生労働省:福祉・介護:自立支援医療

自立支援医療(精神通院医療)】(pdf)
清香

これによると…………

収入の状況によって、

月当たりの自己負担上限額が、

0円〜2万円まであるんですね。

マスターは中間所得層2に該当ですかね?

月当たり1万円が上限ですから
光一

そういう事になるね。

で、自己負担額は1割になる
鳴島

内容はそういうものだとして…………

手続きはどうしたらいいんですかね?
光一

各地方公共団体で異なる部分も若干あるかな。

基本的には同じなんだけど。

自分が住んでいる市町村のホームページから、

『自立支援医療』について探すか、

直接役所に行って、確認すると良いね
清香

で、全体公約数的には…………

どういう手続きになりますか?
光一

1.『自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書』

を手に入れる事。市町村の役所で手に入る
鳴島

はい。……役所の大体どこにありますかね?
光一

基本的には【福祉課】とかだね。

【障害福祉課】とか……保険関係の課に行って、

聞いてみればすぐに分かるよ
清香

それで次にどうしますか?
光一

『自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書』には、

受診者氏名……つまり自分の名前、

性別・生年月日、住所、電話番号、

それと【保険証】の記号・番号を記載、

保険の種類……健保とか国保とかも記載するね。

後は……………………
鳴島

あとは?
光一

その書類の真中から下段にかけて、

【受診を希望する指定自立支援医療機関】

ってあるので…………

自分が受診する精神科・心療内科の名前、

その所在地(市町村)、電話番号を記載する。

後は、利用する薬局も同様に記載する
清香

どこの医療機関でも利用できるわけじゃないんですか?
光一

そうだよ。この書類に、

『自分が利用する医療機関・薬局を指定』する。

逆に言うと、

そこでしか『自立支援医療』は受けられない。

指定した以外の医療機関を受診した時は、

当然3割負担で、上限額設定も無いからね
鳴島

なるほど
光一

これは精神疾患に関わる医療機関なので、

それ以外の医療機関は指定できない。

例えばおそらく……歯医者とかは含まれないね
清香

つまり、今通っているクリニック・薬局か、

あるいはこれから通うつもりの医療機関、

それを記載する事になるわけですね
光一

そう。まず、書類をそこまで書くのが第一段階。

あ、ちなみに受診する医療機関を変更した時は、

役所に変更の申請をする必要があるからね
鳴島

次はどうしますかぁ?
光一

次は…………

2.医師の診断書を手に入れる。

これは、通院しているクリニックで申請する
清香

以上ですかね?
光一

ちなみにこれらの手続き、時間がかかるので、

一応注意しておいてね。

医師の診断書は医療機関によっては、

2週間近くかかる場合もあるしね
鳴島

後はそうすると…………

市町村の役所の障害福祉課などに、

『自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書』

『医師の診断書』

を持っていけばいいんですかね?
光一

後は、収入によって、

月当たりの自己負担上限額が変わると言ったね?

というわけで、まだ必要な書類がある
清香

というと?
光一

3.世帯の所得が確認できる資料

これも必要になるね
鳴島

あれ? でも役所で申請するんだから、

役所の方で調べてくれれば良いんじゃないですかぁ?
光一

当該市町村に引っ越したばかりだと、

課税・収入データを把握していない事があるから、

その時は【課税証明書】が必要になるね
鳴島

そうでない場合は?

市町村がデータを把握している場合はどうです?
光一

前年度の1月までに、

当該市町村に住民票を移していれば、

【市町村民税等調査同意書】を出されるので、

それにOKのサインをすれば良い事になる
清香

つまり、役所側で課税状況を調べていいか、

同意書を出されるってことですね
光一

うん。他には、

4.健康保険証(写し)

……せいぜい他には印鑑を持っていくくらいだね。

これで、必要書類は全て出した事になる
鳴島

なるほど!!

そうしたらすぐに『自立支援医療』を受けられる?
光一

そうとは限らない。申請すると、

【自立支援医療 自己負担上限額管理票】

って表に書かれた

【自立支援受給者証】って手帳

が手元に届くんだけど…………

大体2ヶ月くらいかかるんだよ
鳴島

あ……意外とかかるんですね。

その間はどうするんですかぁ?
光一

『自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書』

これの控えを貰えるから、

それを見せれば1割で受診出来たり……

あるいは【自立支援受給者証】が届いたら、

申請後、手帳交付までの期間の診療代について、

払い戻してもらえたり…………

これは、受診している医療機関で確認だね
清香

ちなみに、有効期間はどのくらいですか?
光一

1年間だね。なので、

【自立支援受給者証】の有効期限が切れないよう、

9ヶ月後……切れる3ヶ月前には、

更新手続きをする必要があるね
鳴島

更新には、また診断書とか必要ですか?
光一

いや、更新は役所内で簡単に終わる。

『自立支援医療費(精神通院)支給認定申請書』

これをまた書けばいい。

その際、【新規】ではなく【再認定】になるので、

医師の診断書は必要ない。

すると、また2ヶ月くらいで

新しい【自立支援受給者証】が手元に届く
清香

2年目はそうやって更新として、

3年目以降もそうなんですか?
光一

いや、【自立支援受給者証】の更新は1回きり。

3回目はまた新規申請だね。診断書などを用意して、

最初申請した時のようにする必要があるね
鳴島

なるほど…………

そんな制度があったんですねぇ
光一

そうしたら、指定した医療機関・薬局に行く際、

その【自立支援受給者証】を持っていくと、

1割負担・月上限額設定有りで受診できる
清香

で、今日の話をもう一度振り返ると……
光一

1.精神疾患治療をしている人について。

2.往々にして収入が不安定。

3.通院・投薬費が膨大になりやすい。

4.しかもそれが長期間になりがち。

5.『自立支援医療』を受ける事が出来る。

6.【自立支援受給者証】を役所での手続きで交付。

7.1年で更新が必要。

8.指定した医療機関・薬局は1割負担で受診できる。

9.自己負担の月当たり上限額が設定される。

10.よって、治療費を大幅に圧縮できる。

なので、精神科・心療内科に通っている人は、

そういう制度があるので、ぜひ利用してもらいたいね
鳴島

そうですねぇ
光一

さて……今日が『精神疾患シリーズ』14回目だったけど、

次回更新からは通常営業に戻そうと思ってる
清香

そうなんですか
光一

大体書きたい事も書いたしね。

できれば年内に、これらのテキスト14本の他、

いくつかの話を別に書いて、

『精神疾患関係』のコンテンツを

サイト内に立ちあげるつもり。

その時間も作りたいので、

この日記は通常営業に戻す事にするよ
清香

ちなみに、今日以前の13回については、

うつ病:『(その1その2その3)』

不安障害:『(その1)(その2)(その3)(その4)』

依存症:『(その1)(その2)』、

強迫性障害:『(その1)』、

栄養療法:『(その1)(その2)』

精神疾患:『(その1)』でした
鳴島

はーい♪ 通常営業、7月以来ですねぇ
光一

そういえば、綾香君のイラストを、

ももこさんに貰っているんだよねえ。

今日から、TOPイラストにさせてもらっている





清水ももこさんから貰った、『ナウシカな鳴島綾香イラスト』

ナウシカな鳴島綾香イラスト

(清水ももこ様より)





光一

ナウシカ風の綾香君のイラストです!!

巨乳、素敵、素敵、巨乳!!
鳴島

セクハラですよっ!!
清香

私なんて……セクハラされるだけの……

胸すらないけどね
鳴島

うわっ!?

清香がやさぐれてる!?

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