拾うものは誰か?

大学三年生当時


さて、みなさんは実験はお好きでしょうか?


私は実験に類するものは大好きです。

基本的に好奇心のかたまりだからです。



その傾向は小学生のころからありまして、

例えば小学校四年生のときの「夏休みの自由研究」では、

「たまねぎの汁は毒があるのか?」

という単純な疑問に端を発した実験を行っています。



たまねぎって切ると目にしみますよね?

小学生のころの私は、

「あれはきっと毒があるんだ」

と考えていまして、

「人間よりちっちゃい生き物なら大変なことになるかもしれないぞ」

と実験を思いついたんです。



材料は

@プリンの空きケース

Aたまねぎの汁


たまねぎの汁を、プリンケース内部に塗りたくります。




あとは、野外に出て、そこら辺を歩いているアリの上から被せるだけです。

ええ、動物実験ですね。

虐待ではないです。「実験」です。



私の実験結果では、アリが悶え苦しんで死にました。



そんなこんなでアリを10匹あまり殺して回ったわけですが、

そんな私のレポートはこんな締めだったと記憶しています。


「たまねぎの汁でアリが苦しんだ。

たまねぎの汁はアリにすごく効きます!!」


なんだか、企業の殺虫剤のロゴみたいな感じの、

およそ大量虐殺をやってのけたと思わせないレポートでした。




さて、

そういうわけで、光一は疑問に思ったら、それを解決しないといられない性質なのです。


大学三年生当時の私は、非常に気になって仕方のないことがあったのです。









「夜のオカズを道端においておくとどうなるか?」


夜のオカズ……それは私も日ごろお世話になっているわけですが、

別にお酒の肴ではありません。

俗に「ズリネタ」とも言います。

意味が分からない方、大丈夫です。そのうちに知ることになります。

男としては健全な欲求なので、問題はないと思います。



さて、

そんな人間の欲求を見事に体現した雑誌を、私はこれみよがしに設置しました。



この実験方法は簡単です。


自宅から近いところの道端、

とりわけ高校生や中学生の多くが通学路にしているところに、

夜のお供を置いておく。

それも、使い古しではなく、新品です。

この実験のために、同じ本を二冊買ったんですから……



置いたら、後は見つからないようにこっそり観察です。

ちなみに、設置時間は午後3時ごろ。

学生が帰宅してくる直前の時間に合わせました。



ちなみに、その道路は通勤通学者がわずかに通るだけ。

車は一方通行です。


つまり、

拾う側に配慮したセッティングでもあるわけです。



そこは陸橋なので、

片方の出口にいれば、誰が拾ったか確認できるわけです。



つまり、

通行人が元々少ないため、

@私の立つ陸橋側に誰かが来た

A人物確認後、設置場所に向かった

Bオカズが消えていた

Cさきほどすれ違った人が持っていった


逆のパターンも

@私が立つ陸橋側から橋を上っていった人がいる

Aその人が逆側の入り口に着くころに設置場所へ

B右手の友(私は右利き)が消えていた

Cさきほどの人が持っていった



と、

この場所は誰が持って行ったのか、確実に知ることができるのです。

しかも、持って行った人も、

私が陸橋出口の陰に隠れているので、

誰かが見ているとは思わないわけです。

オカズを持って、もと来た道に戻ったという要素はあまり考慮しなくてもいいでしょう。




さて、

設置して30分ぐらいたって、学生たちがちらほら自転車で通るようになりました。

しかし、なかなか持っていく人がいません。



自転車は盲点でした。

スピードをある程度出していたら、

下に置いてある雑誌には気づかないかもしれない……



実験は失敗か

私は諦め始めていました。

もう夕方4時半過ぎ……



このために時間を一時間あまり空費し、

オカズ代390円を浪費してしまいました。



ちょっと、自分の大学生活は間違ってはいないかと自問自答を激しくしていました。




そんな私の努力を、

神様は見捨てはしなかった!!




努力は報われる……

神の導きか、

私と入り口で一人の人物……

年の頃は15〜18歳。

まさに高校生がすれ違ったのです。

いや、制服で確認したから間違いないんですけど。




その人物とすれ違った直後、

私は確認に向かったんですよ。




「ない」



私はフフと微笑みました。

実験成功です。


「やはり持ち去るものなんだな」



そう、

男の「夜のお友達」は、まさに持っていかれました。



高校生だと、レジに行って買う勇気のない人もいますしね。

新品を拾えるならやはり拾うわけですよ。










「男が使うオカズ……



あの女子高生は何に使うんだ?」


私の中に、妄想と疑問がさらに巻き起こったまま、

この偉大なる実験は幕を閉じたのでした。


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