4/4(金)

 武力行使反対を非難する政府官僚に関する、私のコメント


 どうも、光一です。今回は、最近の政府内部で上がっている声や、戦争容認論者の意見に対し、コメントをしたいと思います。


 さて、最近、私は政府関係者のこのような趣旨の発言を見ました。何で見たかというと、「小泉純一郎」のメールマガジンなんですが。


 イラク攻撃容認の政府関係者(研究者とは書きたくないが)発言の要旨。

@イラク攻撃はやむを得ない事だ。
A政府は平和を望んだ。アメリカも同様だ。ただ、イラクが戦争を志向したのだ。
B大量破壊兵器は脅威であり、これをフセインが持つことは世界の不安定化につながる。
Cこれは、日本の国益に適うことだ。
D日本は北朝鮮を近くに抱え、大量破壊兵器根絶にはアメリカと同調することが肝要だ。
E戦争反対やアメリカ非難を行う人は、目先の利かない人物である。
F戦争反対なら対案を示すべきだったのだ。


 大体、上記のような発言内容です。


 これに対し、私のコメントを一つずつ加えます。

@へのコメント
 やむを得ないというのは、どういう理由でなのか。それは、フセインがブッシュの勧告に従わず国外退去をしなかったからか? 政府は、イラクが11年間も国連を欺き続けたこと(大量破壊兵器の放棄=湾岸戦争停戦の条件)を挙げるが、イラクはアメリカ侵攻の寸前は武装解除を進めていた。また、この11年間に、イラクの兵力は減少し続け、ミサイルの保有数も減少している。アメリカの圧力が効果的であったことは認めるが、イラクは政府の言う「軍縮」には応じている。
 この状況を受け、アメリカが不当にも侵攻を開始したことは非難せざるを得ないし、それを支持した日本政府も然りである。


Aへのコメント
 これはよく考えればおかしい。イラクが戦争を志向して、アメリカの「勧告」を拒否し、戦争になったのか? 答えは違うと思われる。なぜなら、戦争は体制の転覆に繋がることは、フセインもその側近もわかっているはずだからだ。
 逆に、アメリカが平和を志向し、戦争を望まなかったというのは、これもおかしい。なぜなら、アメリカはひたすら国連の場で「武力制裁」を訴えてきたからだ。それが昨年の9月に行われるか、今行われるかの違いになっただけである。少なくとも、不十分な「証拠」、あるかないかもわからない「大量破壊兵器」(この兵器もどこまでを指して大量……というのか説明は不十分=恣意的に解釈される恐れがある)が世界的には否定され、結果ブッシュ政権は今回の「愚行」に及んでいることは確かだ。
 以前のコメントでも書いたが、アメリカは中東戦略の一環として、イラクを「イラン・イラク戦争」から注視し、時にはフセインに援助をしていた。今回は、その戦略の一環としても見ることができる。ほかにも様々な要因があるが、石油戦略も重要な要であり(ましてや、ブッシュやラムズフェルドは石油会社のオーナーだった)、イスラエル戦略も絡んでいる。今回の戦争はアメリカが多元的な戦略から持ち出したのは疑いない。


Bへのコメント
 「大量破壊兵器」が何を指すかといえば、今回の場合「核」「生物・化学兵器」「弾道ミサイル」ということだろう。しかし、この基準は実は我々の目をくもらせる。
 確かに、これらの兵器は驚異的であり、使用されればどれだけの被害が出るかは測り知れない。しかし、実際にはこの基準は曖昧である。
 例えば、「核」。これは研究施設が「原発」であれば、平和なのか? つまり、同じプルトニウムを抽出する施設でも、それがエネルギーの民需か軍事利用かで変わってくる。現に、日本は「核」を「保有」しており、それを兵器に転用するのは造作もないことである。また、使用済みの核燃料自体、十分に核兵器として転用できる。
 「生物・化学兵器」も同様。これも、最近流行の「バイオ」関係の技術があれば、日本でも間単に製造可能。このような「バイオ・テクノロジー」の研究所がイラクで「発見」されただけでも、それが「兵器」とされかねない曖昧さがそこにはある。
 「ミサイル」。これも、どこまでの射程で、どこまでの搭載能力で、などの基準はない。今、日本では「トマホーク巡航型ミサイル」の導入が検討され始めているが、これこそ「大量破壊兵器」と銘打つものの最たるものであろう。また、宇宙用ロケットの開発は、即ミサイルに転用できるのも忘れてはいけない。イラクがそのようなロケットを開発していても、それは「兵器」とされるはずだ。それは、彼らがアメリカの敵だからだ。


Cへのコメント
 果たして日本の国益になるだろうか。こういう場合、デメリットとメリットを勘案して考えることになる。よって、いかにメリット・デメリットを列記。

メリット<政府の見解> デメリット<私の見解>
日米同盟の緊密化 中東諸国の態度の変化
有事関連法案の成立や進展の可能性 平和憲法の無力化・戦争への参加・周辺国を緊張させかねない
石油戦略の安定 石油戦略のアメリカ覇権・より一層の一国主義
イスラム世界の安定 イスラム世界の流動化・不安定化
民主的なイラク政府 親米政権・イラク市民や中東諸国市民との政府の一層の乖離
テロの減少 より一層の憎悪・テロの多発
イラクの自由な発展 貧富の差拡大・復興への他国依存=大国の搾取対象に
世界経済の安定 戦争中後の多額の無用な出費・株価の急変・アメリカ経済の弱体化

 ほかにも挙げればあるが、とりあえず上記で留める。果たして、これは国益に適うのだろうか。長期的に考えてもらいたい。


Dへのコメント
 これは、北朝鮮脅威論として、支持する市民も多いかと思う。でも、よく考えてほしい。
 アメリカは、イラクへの攻撃に日本が反対したからといって、日米同盟を反故にするだろうか。いや、それはありえない。なぜなら、アメリカにとって、日本以上にアジア戦略の拠点となる国がないからだ。それゆえ、アメリカが北朝鮮問題を日本や韓国に委ねるとは考えにくい。
 それ以上に、日本がアメリカの政策に追随するほうが却って危険である。それは、日本がテロの対象と見なされる可能性もあるが(私は可能性としては皆無と思うが)、それ以上に、日本外交の独自性が見えない。つまり、国際政治の中で、日本の立場を弱める可能性が強いからだ。
 北朝鮮が日本や韓国を無視し、アメリカと交渉を持とうとしていることは、誰もが承知していると思う。つまり、北朝鮮にとって、アメリカの意向に従うだけの両国など、交渉のチャンネルとしては優先順位が低くなって当然だからだ。つまり、日本や韓国が北朝鮮に有効な外交を行いたいならば、アメリカのバックを活かすことも肝要だが、それ以上に、「我々は」という独自の外交性が必要だ。また、そのことが国際政治での駆け引きを上手くすることも間違いないだろう。


Eへのコメント
 戦争を賛成する人は目先が利くのだろうか? 私はそうは思わない。なぜなら、戦争というインパクトは、世界にどのような影響を及ぼすか、誰も予測できないからだ。復興・戦後の貧困・戦略・長期的な影響・憎悪の増幅によるテロの悪循環・景気・兵器の拡散……誰もが懸案とすること、そのどれ一つとして予測が困難になり、余計な混乱とさらなる戦争を招きかねない。戦争で儲かるのは、一部の軍需産業や関連産業であり、基本的に世界に与える経済的・人的・環境的・政治的影響は測り知れないダメージとなる。
 むしろ、戦争ではなく「対話」という新しい手段に人間は気づき始め、努力するべきである。テロの根絶もまた、武力によっては解決不可能である。


Fへのコメント
 戦争に反対する人は、すでに「対案」を示していた。それは「対話」である。こういうと、「相手が対話に乗らないから戦争になった」と、戦争を正当化する人が必ず出る。それは根本的に見方が違っている。
 つまり、「対話」とは、「根気強く交渉し、時の政権が動かざるを得ない国際的・国内的同意を得」「その上で、その懸案が解決あるいは減少」することである。これは特に「テロ」が何故起きるのかといった疑問に、回答を示してくれるはずだ。戦争では、その要因を表面的にそれも戦争を仕掛ける側が有効な論旨としての「要因」に解釈され、問題は根本的に解決されず、また繰り返される。それは、テロを起こさざるを得ない「弱者」の意見を収斂できず、押し付けの戦後処理で一層の困難がそれらの人々に降りかかるからだ。
 また、こうも聞きたい。「フセインを追放すれば、それでイラク国民は自由で安泰した生活を送れるのか?」と。
 「戦争で何十万もの市民を殺されたイラク国民に憎悪は生まれないのか?」と。
 「他国に多数の市民を殺され、その他国に政権を押し付けられた人々は納得するのか?」と。
 「安定し自由な生活とは、どのようなものなのか? それがアメリカ・日本式の生活だというならば、その人は他国の世界観や現実をまったく無視したことになるのではないか?」と


 とりあえず、今回は不十分ながら、この程度で「戦争反対」の立場の光一から、「戦争反対か賛成か?」という二元論で相手を追い詰める政府関係者の見解にコメントをしました。
 ここまで乱文に目を通していただき、ありがとうございました。


Current problemsへ戻る

TOPへ戻る